「飛行機は、落ちたら死ぬから危険では?」
今なら当たり前に使っているものも、出てきた当時はどう見えたのでしょう。
今回、ぼくはAIとの会話で、こんな質問をしました。
「ではじめのこわさみたいなのって れきしみるとあるの>?」
AIが仕事や生活に入ってくる今の感じは、初めてのことなのか。
車、電気、飛行機、工場の機械をたどると、気になる共通点が見えてきました。🌵
新しい技術は、最初から歓迎されてきたわけではない

🚗 車の祖先は「人間が前を歩け」と言われた
1865年、イギリスには道路を走る蒸気車などを規制する法律がありました。
車両には3人が付き添い、そのうち1人は赤い旗を持って前を歩く決まりです。
町での速度は、時速2マイル。約3.2kmです。
機械で走るのに、人が前を歩く。今の感覚では、ちょっと不思議ですよね。
でも、馬や馬車が行き交う道に、大きな機械が入ってきた場面を想像してください。
「馬が驚いたら?」「うまく止まれるの?」という心配には理由があります。
この決まりは、英国議会の記録でも確認できます。
その後、車の使い方には交通ルールや安全装置が加わっていきました。
技術だけでなく、周りの人が付き合うための仕組みも変わったのです。
⚡ 電気も、本当に危なかった

家の中に電気を通す。今では普通ですが、配線に問題があれば火災や感電につながります。
「新しいから怖い」だけでなく、どう設置すれば安全かという問題がありました。
米国では1897年に、電気設備の安全に関する共通の決まりが作られています。
米国の防火団体NFPAも、その歴史を紹介しています。
※安全規格=危険を減らすために、作り方や点検方法をそろえた決まりです。
コンセントの向こうにあるのは、便利な電気だけではありません。
配線の決まりや、異常が起きたら電気を止める装置もあります。
電気への怖さは、ただの勘違いではなかったのです。
✈️ 飛行機は「怖い」どころか、本当に危険だった

「空を飛ぶなんて、落ちたらどうするの?」
この感覚は、まっとうです。初期の飛行では、実際に命が失われています。
スミソニアンの航空宇宙博物館は、1908〜1910年の公開飛行で33人が死亡したと紹介しています。
ライト兄弟の展示飛行チームでも、9人中5人が1910〜1912年に亡くなりました。
※公開飛行=観客の前で飛んで見せることです。今の旅客便の事故率とは別の話です。
だから、昔の人を「怖がりすぎ」と笑うことはできません。
その後の航空では、機体の改善だけでなく、点検や訓練も積み重ねられてきました。
今、空港で受ける確認や、飛ぶ前の整備は面倒に見えることもあります。
でも、飛べる機械を作ることと、人を安心して乗せることは別の仕事です。
🏭 「機械に仕事を奪われる」という恐怖も200年以上前からあった

19世紀初めのイギリスでは、織物を作る仕事の機械化が進みました。
長い時間をかけて腕を磨いた職人にとって、便利になっただけの話ではありません。
自分の仕事の値段が下がる。家族を養えなくなる。
その中で、機械を壊して抗議する人たちも現れました。
※ラッダイト運動=19世紀初めのイギリスで、織物の労働者たちが機械破壊などで抗議した運動です。
英国国立公文書館の資料では、地域ごとの賃金や働き方の問題も説明されています。
これは「新しい機械を理解できない人たち」の話ではありません。
暮らしを守ろうとする人たちの話でもあります。
AIで作業が速くなることと、働く人の暮らしがよくなることも、同じではありません。
歴史を並べると、ある共通点が見えてくる

今回の例では、便利な技術が生まれる一方で、事故や仕事の問題も起きています。
そこで、作り方を直したり、点検やルールを整えたりしてきました。
新しい技術への不安には、本当に解決するべき問題も混ざっている。
ぼくがこの歴史から受け取ったのは、そこです。
ただ、ここで「昔も怖がられたけど普及した。だからAIも安全」とつなぐのは違います。
今回は、今まで残ってきた技術を選んで見ています。消えた技術は含めていません。
すべての新技術が同じ道を進むわけではありませんし、普及しても危険は残ります。
歴史は未来の保証書ではなく、問題の見方を増やす材料です。
🤖 そして今、AI革命が来ている

会話の中で、もう一つ気になった言葉がありました。
「AIが良いか悪いかという議論はやめる必要がある。AIはなくならないのだから」
ジョン noteの記事では、ザック・キンズラー氏の言葉として紹介されています。
WSJの記事で、同氏がBoodleBoxのヒューマンAIソリューション責任者として紹介されていることは確認できました。
かんたんに言えば、人とAIをどう組み合わせるかに関わる仕事です。
※上の日本語は紹介記事の表記です。WSJ原文の発言全文は今回確認できていません。
ぼくはこの言葉を、「危険について話すのをやめよう」とは受け取りません。
「AIは良いか、悪いか」だけで終わらず、次の問いへ進めるということです。
たとえば、どの仕事なら任せるか。出てきた答えを誰が確認するか。
車も「便利だ」「危ない」の二択だけでは、運転の仕方は決まりません。
AIも、具体的な使い方まで考えたいところです。
ただし、AIには過去の革命と違うところがある

車を広めるには、車体を作り、道路や修理する場所も整える必要があります。
一方、AIのサービスは、ネットを通して多くの人に届けられます。
ただし、AIにも大きなコンピューターや電気は必要です。
「公開すれば、全員が翌日から同じように使える」とは限りません。
そして、文章、画像、調べもの、プログラムなど、関わる仕事の幅も広いです。
これが、今回の変化を大きく感じる理由の一つです。
とはいえ、ネットで広がる技術はAIが初めてではありません。
昔の例と似ているところも、違うところもある。その両方を見る必要があります。
「怖いか、怖くないか」より大切なこと

AIに不安があるなら、まず「何が怖いのか」を一つだけ言葉にしてみてください。
たとえば、「間違った答えを、そのまま人に送ってしまうのが怖い」です。
それなら、最初は送信まで任せず、下書きだけ作ってもらう方法があります。
自分で読み、必要な事実を確かめてから送る。試す範囲を小さくできます。
会社の秘密や個人情報は入れない。お金や大事な判断は、AIの答えだけで決めない。
使わないと決める仕事があってもかまいません。
大切なのは、怖さを消してから始めることではありません。
不安を一つずつ、確認できることや自分の決まりに変えていくことです。 🌱
📚 確認に使った資料
車の規制は英国議会、電気の決まりはNFPAの資料を確認しました。
https://api.parliament.uk/historic-hansard/acts/locomotives-act-1865
https://files.nfpa.org/nfpaorg/NFPA/index.html
飛行の数字はスミソニアン、労働者の抗議の背景は英国国立公文書館の資料です。
https://airandspace.si.edu/stories/editorial/roar-crowd
https://www.nationalarchives.gov.uk/education/resources/why-did-the-luddites-protest/
WSJの記事のダイヤモンド掲載版と、日本語の言葉を紹介している記事です。








