AIに何かをお願いして、返ってきた答えが「うーん、そうじゃないんだよなぁ」だったこと、ありませんか。
ぼくは毎日ありました。そしてずっと、AIの性能のせいにしていました。
でも最近、原因はまったく別の場所にあると気づきました。今日はその話と、ぼくが実際に毎日使っている「貼り付けプロンプト」をセットで紹介します。
AIは大賢者、でも呪文を選ぶのはプレイヤー

ぼくはAIを「大賢者」だと思っています。
とんでもなく物知りで、文章も書ける。画像の案も出せる。悩みを整理したり、自分では思いつかなかった視点まで見せてくれる。
本当に、ものすごく賢い仲間です。
ただ、ドラクエを思い出してほしいんです。
どんなに強い賢者が仲間にいても、プレイヤーが「ホイミ」としか指示しなかったら、出てくる魔法はホイミです。
本当はベホマズンが撃てるのに。
AIも、まったく同じ構造でした。
たとえば、ぼくが美容室のサイトを作りたいと思ったとします。
頭の中では、
「おしゃれで、初めて見たお客さんが行きたくなって、美容室のオーナーが見ても“このサイト欲しい”と思うようなもの」
をイメージしています。
でも、ぼくはそれをうまく言葉にできません。
だから、AIにはこんなふうに頼んでしまいます。
ホイミの呪文

🧙
美容室のサイトを作って。
おしゃれな感じで。
これは、プロンプトでいう「ホイミ」です。
別に、間違ったお願いではありません。
AIもちゃんと「おしゃれな美容室サイトを作ろう」としてくれます。
ただ、この言葉だけでは、
どんな人に見せたいのか
どんな雰囲気のおしゃれなのか
何を見たら予約したくなるのか
どんな情報を載せるのか
このサイトを何のために使うのか
が、ほとんど伝わっていません。
そのため、返ってくるのは、
よくある美容室の写真。
よくある丸いボタン。
よくあるキャッチコピー。
よくあるメニュー表。
どこかで見たような、無難なサイトになりやすいです。
AIが手を抜いたわけではありません。
ぼくが唱えた呪文が、ホイミだっただけです。
ベホイミの呪文

もう少し詳しく頼むと、こうなります。
🧙
20〜40代の女性を対象にした、上品で親しみやすい美容室サイトを作ってください。
メニュー、スタイリスト、口コミ、アクセス、予約ボタンを入れてください。
スマホでも見やすいデザインにしてください。
これは「ベホイミ」くらいです。
さっきよりも、かなり良くなります。
誰に見せたいのか。
何を載せたいのか。
どんな雰囲気にしたいのか。
AIが向かう方向が、少しずつ見えてきたからです。
ただ、ぼくの頭の中には、まだ言葉になっていないイメージがあります。
たとえば、
「お客さんが予約したくなるだけでは足りない」
「このサイトを美容室オーナーに見せて、“自分の店にもこれが欲しい”と思ってもらいたい」
「AIが作ったような、安っぽいデザインにはしたくない」
「写真が灰色の箱ばかりになるのも嫌だ」
「ぼくが知らない、美容室サイトの定番要素も調べて入れてほしい」
「見た目だけではなく、営業で使えるデモサイトにしたい」
こういうことまで、本当は考えています。
でも、最初のお願いには何も入っていません。
ベホマズンの呪文

ここまで含めてAIに伝えると、呪文はこう変わります。
🧙
美容室のデモサイトを作りたいです。
表面的に「おしゃれなサイト」を作るのではなく、次の2人が見て満足するサイトにしてください。
1人目は、実際に美容室を探しているお客様です。
初めてサイトを見た人が3秒以内にお店の世界観を理解でき、料金・スタイリスト・口コミ・アクセスを確認し、迷わず予約できる構成にしてください。
2人目は、このデモサイトを見て制作を依頼する美容室オーナーです。
「これなら自分のお店にも欲しい」と感じられるように、集客導線、予約導線、更新しやすさ、写真や文章の差し替えやすさまで伝わる内容にしてください。
制作前に、大手美容室サイトや人気サロンサイトで定番となっている構成・機能・予約導線を調査し、必要な要素を選んで取り入れてください。
実写写真を使い、灰色のプレースホルダーやCSSの色面だけでごまかさないでください。不要なグラデーション、角丸カードの乱用、光るボタン、意味のないアニメーションなど、AIが作りがちな安っぽい表現は避けてください。
メニュー、スタイル写真、スタイリスト、口コミ、FAQ、アクセス、予約導線まで、営業デモとして十分な情報量を入れてください。
ぼくの依頼文だけでは足りない部分があれば、意図を推測して補い、単に言われたものを作るのではなく、営業で最も強く見える形まで仕上げてください。
これは、プロンプトでいう「ベホマズン」です。
正確には、文章が長いからベホマズンなのではありません。
ぼくが言葉にできていなかった、
誰に見せたいのか
何を感じてほしいのか
最終的に何をしてほしいのか
何を避けたいのか
どこまでAIに考えてほしいのか
まで、呪文の中に入っているから強いんです。
同じAIを使っていても、
美容室のサイトを作って。
おしゃれな感じで。
と頼むのか、
お客様と美容室オーナーの両方に刺さり、予約と営業につながるデモサイトを作って。足りない部分は調査・推測して補って。
と頼むのかで、返ってくるものは大きく変わります。
AIの出力の上限を決めていたのは、AIの性能だけではありませんでした。
こちらが、どこまで目的を伝えられたか。
そして、自分でも言葉にできていない部分を、AI自身に考えさせる許可を出していたか。
そこでも、答えの強さは大きく変わります。
ぼくは、自分のやりたいことを自分でうまく言葉にできません。
頭の中には、
「こんな感じにしてほしい」
「もっと伝わる形がある気がする」
「何かが違うけど、その違いを説明できない」
というイメージがあります。
でも、それを呪文に変えられません。
だから、ついAIにこう言ってしまいます。
いい感じにして。
もっと刺さる感じで。
なんか違う。
もう少し俺っぽく。
もっとすごくして。
ぼくの中では、ちゃんと意味があります。
でも、AIからすると、どこをどう変えればいいのか分かりません。
それでもAIは、与えられた言葉の中から、必死に答えを作ります。
AIはサボっていたわけじゃなくて、言われた通りのホイミを、言われた通りに撃っていただけでした。
「言語化できないなら、言語化させればいい」と気づいた日

転機は、AIと作業していたある日です。
やりたいことがどうしても言葉にならなくて、半分あきらめながら、こう打ちました。
「俺のやりたいこと、俺でもわかってないんだけど、言語化するとどうなるの?」
すると、ぼくの頭の中のモヤモヤが、ぼく自身の言葉より正確な文章になって返ってきたんです。ちょっと鳥肌が立ちました。
このとき気づきました。プレイヤーが呪文を覚える必要はない。呪文は、賢者に書かせればいい。
ぼくがやるのは「見たい絵」を雑に伝えることだけ。それを強い呪文に変換する作業ごと、AIに渡してしまう。この発想をコピペできる形に固めたのが、次の「詠唱ブースター」です。
貼るだけの「詠唱ブースター」全文

使い方は簡単です。自分のお願い・質問・悩みを普通に書いて、そのすぐ下にこれを貼るだけ。
【詠唱ブースター】
上の内容(お願い・質問・悩み・アイデア、何でも)は、私のイメージを
言葉にしきれていない可能性が高いです。字面どおりに扱う前に、次の順で進めて:
0. まず発動判定:
- 私の意図・思い・状況が少しでも読み取れる → 1へ進む
- 材料が少なすぎて推測のしようがない(例:「ねたい」「どこ行けばいい」だけ)
→ ブーストせず、足りない材料を1個だけ聞く
- すでに具体的で、字面がそのまま最強のとき
→ 「ブースト不要」と一言だけ添えて、そのまま全力で応える
1. 私が「本当に言いたいこと・やりたいこと・聞きたいこと」を、
あなたの推測で言語化して見せて。
私の言葉より1〜2段強い版・広い版で(遠慮しなくていい)。
悩みや質問のときは、表面の言葉じゃなく「裏にある本当の引っかかり」まで掘って。
2. 「字面どおりの版」と「本当はこれのはずの最強版」を表で並べて、
どっちで進むべきかおすすめを言って。
3. 確認したいことがあっても、質問は一度に1個だけ。
4. 方針が決まったら、最強版で遠慮なく応えて。
作業なら実行まで、悩みや質問なら核心への答えまで。
ついでに、私が気づいてない改善点や視点があればセットで出して。効く理由と、効かない場面

このプロンプトがやっていることは、じつは1つだけです。AIが遠慮して勝手にやらない動きを、全部「命令」に変えています。
✅️ 意図を拡大解釈する許可を出す(AIは許可がないと遠慮します)
✅️ 強い案を出すことを義務にする
✅️ 質問攻めを禁止して、1個ずつにさせる
✅️ 言われた分で止まらず、改善案まで出させる
ぼくの体感では、高性能なモデルほど貼らなくても察してくれます。効果が一番大きいのは、標準クラスのモデルを使っているときです。空気を読む力が弱いモデルでも、空気を命令文にして渡せば、ちゃんと動いてくれます。
ひとつだけ正直に言うと、これはモデルの地頭の差まで埋める魔法ではありません。それでも、「言葉にできないから」という理由で、本当にやりたいことをあきらめる場面はほぼゼロにできます。
もちろん、これを貼れば毎回100点になるわけではない
最後に、ひとつだけ大事なことを書いておきます。

返ってきた答えをそのまま正解にするのではなく、見比べて、違うと思えば修正して、最後は自分で選ぶ。
このプロンプトの価値は、必ず完璧な答えを出すことではありません。
自分一人では言葉にできなかったものを、一緒に見つけにいけること。
ぼくは、それだけでも十分に強い魔法だと思っています。








